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量目を減らして価格を据え置くのはそろそろ終わりにしないか

 

物価高によって、消費者は食品の値上がりに対してかなり敏感になっている。

 

もちろん私だってそんな一人だ。

 

いつも購入している食料品が以前より値上がりしていると、買い物かごに入れることに躊躇するし、お値段据え置きの商品に浮気することだってある。

 

でもその瞬間にそういう選択をしても、多くの場合で後悔することが多い。

 

なぜなら量目が減っていたり、微妙なレベルで品質が下がっていたりすることが多いからだ。

 

そういう私も食品製造業の開発部門で勤務しているので、最近はそれ系の仕事に携わることが少なくない。

 

原料が高騰しているから代替品を少し混ぜてみたり、完全に置き換えてみたりすることもある。

 

もちろん、原材料表示が変わらない範囲でやるとか、官能評価等、然るべき社内での手続きを経てそれは行われるのだから、食品偽装なんかとは全く次元が違う話だ。

 

でも品質をそのまま維持し、商品にそのまま価格転嫁をする企業だってある。どうやってこれからの収益を確保していくか、その手法の違いだ。その企業が最も大切にする価値観がこういったところに表れるのだと思う。

 

さて本題。

 

社内でこういう話をすると、消費者として自分が取る行動と、従業員としての考え方では真逆になるケースがある。

 

どういうことかと言うと、消費者の立場では値上がりした商品を購入しなくなるのに、自社の商品の場合は「もっと値上げして営業が頑張って売ればよい」と考える人が少なくないということだ。

 

自分が当事者の場合と、そうでない場合とでは、逆のことを言うわけだ。

 

人間の考えていること、言っていること、実際の行動なんて、しょせんは矛盾だらけ、要するにその場の思い付きで喋っているケースが多いのかもしれない。

 

リアルでもそうなのだから、ネット上ではもっと無責任に発言が飛び交う。そういう私もその一人だ。

 

だから最近はせめてSNSからは遠ざかっている。ツイッターはやめたし、インスタもフェイドアウト中だ。ブログやYouTubeで発信はするが、他人の考えに触れるのは素性が分かっている人だけ、かなり限定的だ。

 

話が広がってしまったが、こうしてネット上でコンテンツを発信している立場の私としては、質を下げたらユーザーからは見向きもされないことくらいよく分かる。

 

だから食品だって、質を下げて価格で消費者にアプローチするのは同じ結果を生むのではないかと危惧している。