【十勝岳・美瑛岳縦走】望岳台から登るなら6月上旬がおススメ

  

今回は十勝岳と美瑛岳の話題。望岳台から日帰りで縦走しようという方を対象に発信します。通常、両方の山に登る場合は、望岳台から周回登山をするのが一般的です。

 

しかしこの記事では、望岳台から十勝岳に登り、縦走路を使って美瑛岳へ。縦走路を再び戻って十勝岳付近まで戻り、ちょっとショートカットをして望岳台へ下山する往復コースをお伝えします。

 

十勝岳は日本百名山の1つで、十勝連峰のなかでは最も有名な山。山肌の荒々しさでは、爆裂火口を有する美瑛岳と上ホロカメットク山には劣りますが、現在でも噴煙を上げる活火山です。十勝連峰の中では最も高く、山頂部のシャープで洗練された曲線がこの山ならではの美しさを作り上げています。草木がほとんどないのも特徴的のひとつです。

 

山行日は2017年6月12日。寒い朝でしたが、青い空が広がる晴天で空気が澄んでいて、かなり遠方まで見渡せました。

 

十勝連峰は日の出前から行動を開始したい!

 

いきなり主観的な意見のタイトルから始まってしまいましたが、これまでの経験上、高気圧の圏内で晴れ予報の場合、登山口付近に深いガスがかかって小雨模様でも、主稜線上は快晴で、つまり雲海が見られることが多いのです。

 

よく、望岳台や十勝岳温泉で車中泊をして、早朝に起床して空を見上げてため息をついている人を見かけますが、それであれば思い切って、天気予報を信用して出発しましょう。どちらも標高が高いため、ガスがかかっているだけのことが多いです。

 

晴れマークオンリーの日に、主稜線で雨が降っているなんてちょっと考えられませんよね。それよりも、朝晩の気温差が大きい場合、朝8時くらいに稜線に出たら、その後ずっと雲の中、なんてこともあるんですね。

 

しかも望岳台から出発する十勝岳の場合は、樹木がないので朝露でびしょ濡れになることもありませんから、行動開始は日の出前、欲を言うならば空が白み始める、航海薄明の時間くらいから登り始めるのがベストです。そして天気予報を信用しましょう。

 

私が訪れた日は、札幌を24時30分に出発して3時40分に望岳台へ到着しました。日の出時刻は3時49分なので、登山開始は日の出時刻を過ぎてしまいましたが、先行者はまだ1名だけでしたよ。

 

望岳台のビジターセンター入り口にある入山届に記入して、いざ十勝岳へ向けて出発です。

 

ガスが晴れてきた!テンションが上がる!

 

美瑛富士の左側から朝陽が昇り始めます。奥に表大雪の山々がくっきりと見えていることから、山頂からの最高の眺めが期待できますよね。右手には富良野岳。山頂付近が朝陽を浴びて輝いており、その右には月が輝いているという神秘的な風景。そして正面には噴煙を上げる十勝岳がうっすらと姿を現します。

 

 

望岳台を出発してしばらくしてから避難小屋へ到着。振り返ると一面には雲海が広がっています。私が何度も十勝連峰に通い続ける理由の一つなんですよね。

 

避難小屋からは右側(北)の尾根に取り付いてスリバチ火口の縁へと登っていきます。ここがこのコースでメインとなる登りですが、避難小屋まででちょうど良いウォーミングアップが出来ていて一息ついた後であれば、カラダが最も調子よく動いてくれるタイミングなので大丈夫。

 

スリバチ火口まで登りきると十勝岳が眼前に

 

火口縁に上がる直前から、美瑛岳の山頂が姿を現し、遠くには表大雪の山々を望むことができます。目指す十勝岳はもう間近に迫っており、少しだけ心地良い平坦地が続くので、一息ついて景色を眺めたら、月面のような周囲を楽しみながら気持ちよく歩きましょう。

 

 

いよいよ最後の登りに差し掛かります。急な斜面に見えますが、晴れていて山頂が見えていれば気持ちにゆとりができますので、自分のペースで慌てず登りましょう。

 

ガレた斜面を登り、旧前十勝コースとの分岐を越えると、富良野岳へと続く稜線が視界に飛び込んできますよ。

 

振り返ると、右手にグラウンド火口と、歩いてきたすっきりとした平坦地を見渡せ、達成感を感じることができるんですよね。さあ、間もなく山頂です。

 

十勝岳山頂から美瑛岳を目指して

 

十勝岳の山頂まで約2時間30分、気温が低くて汗ひとつかかず、水も一滴も飲まずに到着しちゃいました。

 

景色はご覧の通りです。この時間の山頂は貸し切りでしたが、十勝岳は人気の山なので、たいていの場合は混雑してるんですね。しかも全体的に岩で覆われているので、平坦で心地良く休憩できる場所が少ないんです。樹木がないのでどこへ移動しても休憩でき、全周を見渡せるところが救いですが、山頂標識で思い通りに写真を撮りたいのであれば、早朝の時間帯がおススメですよ。

 

さて、風が強めだったので、早々に引き上げて美瑛岳方面へ下りて一休みして、美瑛岳へ向けて出発です。

 

景色がさらに変わり、平坦地をゆく

 

十勝岳を下りてからは、しばらく荒野のような平坦地形となり、鋸岳へ少々登ると、今度は一度大きく下ります。晴れていれば遠くの山並みが見渡せますが、ガスがかかっていれば何も見えなくなってしまうので、美瑛岳は諦めたほうがいいですね。

 

鋸岳からの下りは、一番ザレが深い場所なのですが、窪みが残雪で埋まっていたので、トラバース気味に素早く下ることができましたよ。

 

ここから美瑛岳の山頂までは撒くようにトラバースし、徐々に登っていきます。上富良野側は爆裂火口となっていて、とても迫力があるんです。

 

緩やかな登りの途中、最初にトムラウシ山、次にオプタテシケ山、最後に美瑛富士と見えてきて、表大雪まで全て見渡せるようになった頃には、もうまもなく美瑛岳の山頂ですよ。

 

全部見える!美瑛岳山頂からの眺めに感激!

 

今回、私が美瑛岳に登ったのはこれで4度目ですが、これほどの透き通った景色を見ることができたのは初めて。そのうち2回は十勝岳温泉からオプタテシケ山までの縦走の途中に寄ったので、朝の10時を過ぎていました。やはり透き通るような景色を見るには、早立ちが欠かせないと感じました。

 

美瑛岳の山頂は、遮るものがなく全周を見渡すことができ、十勝連峰の全て、表大雪、東大雪、北日高に阿寒富士、増毛山地も夕張岳も、全部見渡せるんですよ!

 

やっぱり山はいいですね~。貸し切りの山頂で50分も楽しませてもらいました。

 

美瑛岳から直接下りずに、来た道を戻る

 

十勝岳から美瑛岳へ縦走した場合、普通はそのままポンピ沢を経て望岳台へ下りるのが普通です。ところが、私はこの道があまり好きではなく、まだ雪が多いと予想されることもあり、来た道を戻ることにします。さらに雲海が見えるので、ポンピ沢へのルートはずっと雲の中である可能性が高いと判断したのも理由なんですね。

 

帰り道は鋸岳の下までほぼ緩やかな下りなのですが、ここからは登り返し。特に最初の鋸岳への登りが短いなりにも、ザレが深くて苦労します。

 

夏道は鋸岳の山頂を通らないのですが、今回は夏道を外して残雪を登るので、ついでに山頂へ寄ってみました。スパッと切れ落ちていていますが、野球場のような地形にスコアボードのように立ちはだかる鋸岳でした。

 

雪が残っていると、十勝岳へ登り返す必要がないのがこの時期のいいところ。途中からショートカットすることができます。

 

一番緩やかな場所を選んで、野球場のような凹地へ下っていきます。

 

残雪を伝って下山できるのがこの時期らしい

 

振り返ると美瑛岳と鋸岳を見上げ、一面は大きな雪が残る広場。

 

直線的に歩いてスリバチ火口の手前で夏道に合流します。夏道を行く人からは、この人どこから現れたんだろう?と疑問に思ったかも。

 

夏道をしばらく下りたところから、再び沢地形の残雪を伝って一気に避難小屋へ下ります。ここが残雪のいいところですね。

 

正午には望岳台へ到着し、最高の夏山シーズンの開幕戦となりました。6月第3週末も天気が良さそうな気配です。ぜひみなさんも訪れてみてくださいね。