ちょっと前の話になりますけどね、10月上旬に御嶽山に登ってきました。
深夜2時半頃から登山開始、ゾクゾクするくらい満天の星空に心を踊らせながらも、上空をゴーゴーと吹く風の音に若干ビビり、日の出時刻を目指して登り始めます。
山頂で迎える日の出
今回の登山口となるのは黒沢口。途中からロープウェイ組のハイカーさんたちと交わるコースです。
前日は道の駅三岳に16時半にチェックインして早めに就寝。
あっ、もちろん車中泊ですよ。
黒沢口は標高が高くて寒いので、私にはムリって思ったもので。
真っ暗な林内をヘッドライトの灯りを頼りにマイペースで登っていきます。
途中で別のパーティを追い抜いたり、単独のハイカーさんに抜かれたりしながら、森林限界となる八合目の女人堂ヘ。
いよいよここからが核心部となります。
周囲が開けた頃から、東の空が少しずつ明るくなって、マジカルアワーのスタート。
徐々に空が蒼白くなっていき、でも星空もまだまだ見える時間帯。
空際線上には中央アルプスや南アルプスと思われる山々がかすかに浮かび上がり、ゾクゾクが止まらない。
うん、動きが止まって単純に寒いだけなんだけど。
九合目付近にある石室山荘は、ちょうど宿泊者さん達が早立ちする時間ということもあって、とっても明るいんです。
ランプの灯りが小屋の雰囲気にマッチしていて、なんだか台湾の九份にでも来たかのような錯覚に陥ってしまいそう。
振り返れば空がかなり明るくなって、いよいよ夜明けが近い。
山屋さんなら何度も体験している時間帯。だけど山に登らない方々にとっては、生涯拝むことができない景色であり瞬間でもあるんですよね。少しおすそ分けをしてあげたい。
写真撮りまくりでなかなか進まないでいた私。それでも何とか山頂付近で日の出に間に合いそう。
2014年の噴火によって犠牲となった方々を祀る慰霊碑に向かって手を合わせると、タイミングよく山頂へと続く石段が金色に輝き始めました。
まるでマヤやアステカ文明の遺跡みたいな感覚。
日の出の瞬間はやっぱり息を呑みますよ。
写真が好きな人はいつもファインダーの中から覗き込むけれど、たまには肉眼でじっくりと心の中に焼き付けるのも大事だと思います。
山頂から摩利支天山や継子岳の方に目をやると、その奥には乗鞍岳、さらににその奥には槍ヶ岳や奥穂高岳も見えています。
火山灰が流入した二ノ池を越えて摩利支天山へ。
剣が峰から今度はニノ池ヘ。「国内でも最も標高が高いところにある池」なのだそう。しかし噴火による火山灰の流入で、真っ白くなっていました。
山は決して逃げないなんて言うけれど、こうした天災に見舞われると大きく変化してしまうのもまた真理。
真っ白なニノ池の畔を歩く。空が青くて空気が澄んでいるだけに、空虚な気持ちになってしまう。
ニノ池から摩利支天山方向に向かう途中から振り返る御嶽山の山頂。
一度下ったところが賽の河原。
縦走路は摩利支天乗越を通過して、再び下りとなります。
正面の下ったところにあるのが五ノ池小屋、その背後は継子岳。
険しい岩稜帯の側面部に付けられた踏み跡を進むと、僅か10分くらいで摩利支天山の山頂標識ヘたどり着きます。
こういう場所は省略しないで立ち寄っておいたほうがいいですよ。たいていの場合、行かなければ後悔しちゃうので。
継子岳、三ノ池、そして紅葉を楽しんで
摩利支天乗越へ再び戻って継子岳へ。午前7時を過ぎて暖かくなり、防寒のために着ていた雨具を脱ぎ捨て身軽に。
ここから一気に150mくらい下るのですが、右手に真っ青な三ノ池を見下ろすことができるので、かなり気分が高揚します。
五ノ池小屋から振り返る摩利支天乗越。
テラスでコーヒーでも飲みながらゆったり過ごすなんて、オトナの贅沢なんでしょうね。
私は山でのんびり過ごすタイプではないけれど、もう少し歳を重ねれば少しは理解できるようになるのかな。
五ノ池小屋から最北端の継子岳へ。アップダウンはほとんどなくて、20分くらいで行けるので面倒くさがらずに訪れて欲しいですね。
アップで見てみましょう。
山頂から至近に見えるのは乗鞍岳。すぐ右奥には槍ヶ岳、さらに右手前に奥穂高岳から前穂高岳への吊尾根が、左には笠ヶ岳がくっきりと見えています。
継子岳からは手前に摩利支天山が。奥には剣が峰がよく見えています。
御嶽山は独立峰っていうイメージがありますけれど、こうやって来てみると大雪山のような雰囲気もあるんですね。
継子岳からはそのまま時計回りで四ノ池方向に下りられますが、今回はもう一度五ノ池小屋まで戻って、飛騨山頂から三ノ池避難小屋へと下りていくことにします。
眼下に三ノ池を見下ろしながら、ちょっと急な岩場を下ります。
摩利支天乗越のほうを振り返ってみると、岩とハイマツに交じって紅葉が散りばめられていて、とってもいい雰囲気。
今回歩いたルートの中ではお気に入りの場所の一つ。
三ノ池まで下りると祭事が行われている最中。
遠巻きに静かに眺めて、この場を後にします。
三ノ池避難小屋では開田登山口への下山路と、女人堂へのルートが交差しているので間違わないように女人堂方向へ。
この辺りが最も紅葉が美しく、おそらくそれを目当てで登ってくるのでしょう。多くのハイカーさんとすれ違いました。
紅葉に見とれてなかなか足が進まない私。
でも時刻はもうすぐ9時30分。中部国際空港で14時までにレンタカーを返却しないとならないので、少し焦ってきました。
何度も沢地形を越えるので、なかなか女人堂が近付きません。
景色を見ながらボーっとしていると、首筋がチクッとして触れてみるとかなり腫れています。
こうした刺す虫がいるようですので、注意が必要かも。首筋だけで2か所も刺され、すでに3週間が経過しているのにまだ跡が残っています。
女人堂まで戻ると、黒沢口からのコースに合流。紅葉真っ盛りの日曜日、しかも快晴ということもあって、ここから七合目の行場山荘までの間は数百人の方とすれ違いました。
いっぽう、ロープウェイの分岐点を過ぎてからというものの、黒沢口までで会った方は3名程度。
10時30分に下山したのち、着替えもそこそこに駐車場を飛び出し、中津川ICから中央道に乗ってりんくう常滑へ。レンタカーを返却したのは予定の10分前。山歩きよりも帰りの運転のほうがスリリングで焦ってしまいました。
空港でインスタやヤマレコをアップして、夕方の飛行機で札幌へ帰ります。
この1週間後、再び名古屋へ赴き、南アルプスの聖岳へ登ることになります。