無意根山から余市岳を縦走する雪山ハイク(4月中旬)

 

中山峠から朝里峠まで繋がる一連の山並みは、札幌で山歩きをしている人なら誰でも一度は歩いてみたいコース。

 

中山峠から喜茂別岳を経由すると45kmくらいの道のりとなり、雪上を1時間あたり平均3kmで歩くことができれば日帰り可能。でも車の回送やバスの問題などを考えると、一人でやるのはちょっと難しいんですよね。しかも春限定。

 

そこで今回は薄別の無意根山登山口からスタートして小白山を経て無意根山へ登り、そこから余市岳へ稜線を歩くコースにしました。

 

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小白山、無意根山を経て美比内山へ

薄別無意根山登山口

まずは薄別の登山口へ。白石区の自宅を24時に出発し、薄別までおよそ33kmの行程を走ってきました。ロードバイクなら1時間30分くらいで来られそうですが、MTBだと2時間40分くらい。背中にリュックを背負って走るとやっぱり重っ!登山開始前にすでに疲弊しております。

 

小白山

予想以上にチャリ移動に時間を要してしまったために、小白山到着時はすでに明るくなっていました。天候は高曇り。太陽の姿が見えないのでモルゲンロートの興奮がないけれど、気温が低めで無風、視界も良好。雪が締まって歩きやすいので最高の縦走日和です。小白山まで7km区間を1時間半。かなり順調な滑り出しです。

 

メンチカツパン

昨晩は食事をとらずに17時半に就寝したので、寝起きからお腹が空いて。24時に自宅を出てから、コンビニに2軒寄ってカツサンドとおにぎり、そしてここでもメンチカツパンの朝食。アスリート系の山屋さんはゼリーとかバーとか、そもそもほとんど食べないなんて聞きますが、私は固形物をガッツリ食べたほうが調子が出るタイプ。あっ、ふだん体重なんてほとんど気にしませんよ。だってそんなの気にしてストイックにやっても楽しくないもん。

 

定天ヒクタ白井岳

小白山から・973を経て尾根の末端で夏道に合流。積雪期の無意根山ってどうやって登るんだろう?って思っていたけれど、この尾根は広くて斜度もそれほど急ではないんですね。元山コースの分岐点くらいまで詰めると、長尾山の向こうに定天、ヒクタ、白井岳の山並み。さらに奥には石狩湾と増毛山地も。

 

無意根山

余市岳に次いで札幌で2番目に高い無意根山。こちらから登ると最高点が手前、山頂標識がある旧山頂が奥側になります。小白山から1時間40分、登山口からおよそ12kmを3時間20分で到着。当初の予定では6時に無意根山頂到着で計画していたので、出発が遅れたわりには上々。15分遅れでの到着であれば、誤差の範囲でしょう。

 

長尾山

無意根山から次の長尾山まではおよそ3kmの道のり。標高差250mくらいを下るので、40分程度しかかかりません。長尾山到着を7時で計画していたので、ここでオンタイムへ修正。

 

長尾山

長尾山の山頂はのっぺりしていて特に何もありません。縦走ではなく、下から見上げて登って楽しむ山なのかな。余市岳がひときわ大きく近くに見えるものの、稜線は西側にカーブを描きながら続いているので、案外遠い道のりとなります。

 

千尺高地

長尾山から一段下りたところが千尺高地。北海道雪山ガイドによると、厳冬期はここから無意根山に登るコースが一般的なのだそう。ニセコ連山の眺めが良くて、心が弾みます。

 

大沼山

千尺高地を過ぎて、△1111.3に登ると通称「大沼山」と呼ばれる札幌100峰の一つ。旧豊羽小学校を起点に古くから学校尾根を伝ってここまで登られているようです。

 

美比内山

大沼山付近から美比内山までの眺め。長尾山から美比内山まで1時間程度と見積もっていたものの、実際には1時間40分かかりました。そりゃあ5kmもありますからね。完全に計画ミス。左手に見えている1050mのポコには登らず、東側の基部を捲いて美比内山へ向かいます。ただし雪庇が張り出しているので、時期によっては稜線上を歩いた方が安全かもしれません。

 

美比内山

次いで本日4つ目の札幌50峰、美比内山へ。ここに来るのも初めてなのでかなり嬉しいです。でも靴擦れがちょっと痛いし、ここまでの道のりもちょっと退屈だっただけに、飽きてきたのも事実。登山口からここまでちょうど20km、およそ6時間の道のりです。標高もこの付近で1,000mを切るので最も低く、ここから登り返しに差し掛かる場面。ちょうど折り返し地点になります。正午から13時くらいの間に余市岳に到着すれば、国際スキー場を16時に出発するバスに間に合う算段。

 

美比内山から大江山を経て余市岳へ

中ノ沢

さて、美比内山から先がこのコースの楽しいところ。△1086.6の中ノ沢、次いで・1172の大江山と続きます。札幌150峰にチャレンジしている方も少なくないようで、スキーやスノーシューで歩いた形跡が残っていました。

 

中ノ沢

中ノ沢付近は尾根が広く、加えてニセコ方面の見晴らしがいいですね。ここは札幌150峰なんですって。

 

中の沢

中の沢にも標識がありました。今日みたいに長い行程を歩く場合、一歩一歩のピッチや時間の差異が山行時間に大きく影響します。例えばこの日のスマートバンドのログでは72,670歩を歩いたと記録されていますが、1歩あたり3cm違えば2km以上離れますし、1歩あたりの足の運びが0.5秒遅くなるだけで1km以上の距離を離される計算になるんですよね。西川きよし氏が「小さなことからコツコツと」と言ってますが、こういうシーンでも数値に現れるんですよね。

 

余市岳

白井岳を挟んだ対岸には、余市岳から南に延びる・1380と・1261の姿が。実にカッコいいじゃないですか。一度白井川へ下りて・1261へ登り返し、あちらの稜線を使って余市岳に登ろうかと真剣に悩んだほど。この稜は南岳から繋がっているので、いつの日か南岳経由で余市岳に登ろうと思います。ちなみに1380mという高さは、中岳(△1387.5)の次に高い場所かもしれません。

 

大江山

大江山への登りは何段かに分かれていて、中の沢から下りた標高1,000m地点から全部で170mくらいの登り返しになります。それだけに大江山は無意根山と余市岳の間では最もピークらしい場所。札幌150峰番外編になっているけれど、個人的には100峰に推したいですね。

 

大江山

大江山直下から振り返る中の沢、美比内山、はるか遠くに無意根山とその右に中岳。中岳はこちら側から見ても無意根山に見劣りしない立派な姿を見せているのに、札幌市民にほとんど知られていないというのが惜しいですよね。札幌50峰なのは当然のこと、高さでもおそらく札幌市第3峰のはず。つまりですよ、どんなことでも1番にならなきゃ注目されないってこと。これ、世の中の原理原則みたいなもの。

 

大江山

大江山にも標識がありました。しかも真新しい感じですね。薄別登山口からここまで27km、美比内山頂からでも5kmの道のりがあるので、誰もが気軽に来られるってわけでないけれど、ここを目標にして1シーズン、トレーニング山行を積むだけの価値はあると思うんです。

 

大江山から見た余市岳

大江山から見る余市岳は、近すぎず遠すぎずちょうどよい距離なんです。今日は朝のうちは曇り空でしたが、だんだんと晴れてきて、それでいて風も穏やか。最高のシチュエーションで早めのランチタイム。ここまで8時間歩いてきたご褒美です。えっ?私だってこれだけ歩けば疲れるんですよ。

 

羊蹄山

大江山から余市岳の区間はいよいよクライマックス。地形図を見るよりも実際の稜線は大きく湾曲しているように見えます。この辺はほとんど樹木がない雪原が広がり、じわじわと高度を上げていくのが楽しいです。

 

ニセコ連山

1,200m付近まで高度を上げると、隣接する赤井川村の山々を一望できるようになります。隣町のわりにはキロロリゾートと阿女鱒岳の他にイメージできるランドマークがありません。そのくらい赤井川村に関しては何も知らないってこと。だからこそ、これを機にこの一帯の山々を知るチャンスなのかなって。ちなみに本倶登山の山頂は赤井川村ではなく倶知安町に位置しています。

 

無意根山と中岳

余市岳の登りはこちら側もそれなりに急斜面で、しかも西側はハイマツが露出しているので、コルから見上げて登行ラインを見定めながら進路を選びます。それでもやはりハイマツ帯の中に突入してしまい、ハイマツを踏みながら稜線の南側に出なければなりませんでした。右手を見ると、登りたかった・1380Pを眼下に見下ろし、その奥には長尾山から美比内山へと続く稜線、さらに奥には無意根山と中岳のツートップが「よく頑張ったね」て言ってくれている感じがしました。

 

余市岳

余市岳山頂直下からの眺めは抜群。朝里岳から登って来た方でも、山頂からちょっと下りてこちら側の景色を見て欲しいな。

 

余市岳

山頂を越えて北東斜面を下り切った・1239付近から見上げる余市岳。無雪期ならそれほど注目されないけれど、積雪期だと存在感が大きいですね。札幌50峰、北海道百名山のみならず、日本三百名山なんですよね。また、道央・道南では羊蹄山、狩場山に次いで高い山なのだとか。

 

朝里岳

通称「飛行場」と呼ばれる雪原を歩いて朝里岳に到着。朝里岳も札幌50峰の一つで、余市岳、白井岳と並んで余市三山の一つ。今日は小白山、無意根山、長尾山、美比内山、余市岳、朝里岳の合計6つの札幌50峰に加え、札幌100峰の大沼山、札幌150峰の中の沢、札幌150峰番外編の大江山と千尺高地を踏破する贅沢ルート。その分、歩行距離は38kmとなり、獲得標高も2,200mになりました。この後は国際スキー場に下りて、16時出発の定期路線バスで真駒内へ帰ります。これで今シーズンは狭薄山ー空沼岳ー漁岳ーフレ岳ー蓬莱山ー中山峠の区間に加え、無意根山ー朝里岳の区間、春香山ー峰越の区間、百松沢山ー烏帽子岳の区間を踏破し、札幌行政区に連なるスカイラインの大部分を歩いたと思います。