幌尻岳|日本百名山へチロロ林道から日帰り。さらに1967峰にも寄ることができるのか?

 

こんにちは!やまたび北海道のコモ子です。

 

今日は日高山脈の幌尻岳のご紹介。

 

幌尻岳は日高山脈のなかで唯一、日本百名山に選定されていることもあって、全国から登山者が集うとても有名な山です。肌感ではありますが、地元の登山者よりも道外から訪れる登山者の方が圧倒的に多い印象。

 

北海道の山は、名山と呼ばれる山容や景観と、標高の高さとの関係性はほとんどないといってもいいのですが、幌尻岳は日高山脈で唯一2,000mを超えることもあってか、特別な存在です。

 

通常、この山だけを単独で登るには、糠平川から幌尻山荘を経て登るのが一般的です。最近は、「日本百名山ひと筆書き」で有名になった、田中陽希さんが登ったポロシリ山荘からのコースも人気急上昇中。こちらのコースは長~い林道歩きがネックなので、もともとはそれほど利用者はいなかった印象です。

 

いっぽうで、田中陽希さんが下山ルートに使ったと思われる、北戸蔦別岳とヌカビラ岳を経由してチロロ林道へ下りるコースもあります。

 

私は2014年にこのルートを使って北戸蔦別岳から幌尻岳を往復、さらに北戸蔦別岳から1967峰へも往復してみました。

 

1967峰は北日高を代表する名山ですが山名がなく、一般登山者にはほとんど縁のない遥かな山ですが、岳人の間ではよく知られた山。最近は伏美岳、ピパイロ岳を経て1967峰まで日帰りで往復するツワモノも少なからずいるようです。

 

しかし、チロロ林道から日帰りする人はあまりいない様子。そもそも伏美岳から幌尻岳まの間で、1967峰から北戸蔦別岳の間は、1年に1000人、いや100人も歩いていないと思います。

 

今回、私はチロロ林道から幌尻岳と1967峰をセットでチャレンジしてみました。

 

当初はイドンナップ岳へ登る予定でトレーニングをしていたこともあって、体力的には準備万全で、時間さえあれば1967峰へも行けるという自信を持っていました。

 

実際には… 

 

どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

 

チロロ林道から北戸蔦別岳へ登ろう!

 

登山口となる二岐沢出合があるチロロ林道は、国道274号線の日高町から日勝峠方向に数キロ進んだ付近から右折し、しばらく進むとゲートがあり、このゲートが林道の起点となります。

 

2016年の台風被害で林道や林道ゲートへ至る町道、国道274号線にも被害があったため、2017年は通行が困難な状況でしたが、2018年は解放されています。林道に関する情報は、北海道森林管理局のウェブサイト「登山等に関する通行規制について」をご参考ください。

 

早朝から登る場合、登山口で車中泊をしてもいいのですが、最寄りの道の駅「樹海ロード日高」で休んだ方が、トイレやコンビニも利用できるので便利です。

  

チロロ林道

 

私は、前日18時に退勤したのち、21時に道の駅に到着。約5時間ほど仮眠を取って朝2時20分に道の駅を出発しました。

 

チロロ林道は、例年6月から10月くらいの間、ゲートが解放されています。10月以降の狩猟シーズンに入るとゲートが閉まりますし、雪も降るので無雪期の登山は7月~9月中旬に限定されると言っていいでしょう。

  

北戸蔦別岳登山口

 

林道を走ること約30分~40分程度の二岐沢出合に駐車スペースがあり、ここからさらに二岐沢沿いに取水ダムまで林道が続いています。この林道を3kmほど歩くと北戸蔦別岳の登山口があります。この登山口でヘッドライトが要らなくなるくらいの明るさになるのが理想的。空が明るい時間を最大限に使いたいところですね。

 

北戸蔦別岳登山口

 

ここには北海道電力の取水ダムがあり、車が転回できるような広場があります。ここで最終的な準備をして出発。林道歩きでウォーミングアップが終わっているので、足取り軽くまずはヌカビラ岳を目指します。

 

北戸蔦別岳

 

しばらくは河畔林の中や、渡渉を繰り返しながらの河原歩き。

 

無駄な渡渉はほとんどなく、トレランシューズでも十分です。

 

ピンクテープもたくさんぶら下がっているので、空が明るければ迷うことはないでしょう。ただ尾根への取り付き地点が見つけずらいというレポートが多く見受けられます。事前にポイントを抑えて予習をしておきたいですね。

  

トッタの泉

 

尾根に取り付いたら、いよいよ日高らしい急登が始まります。ワクワク感が止まりません。

 

登りを楽しみながら(苦しみながら?)登り続けると、トッタの泉が途中にあります。稜線に上がると七つ沼カールに下りないかぎり水が取れないので、ここが事実上の最終水場となります。念のため水を汲んで満水にしておきましょう。

 

私の経験上の話になりますが、日帰り行程で水を4リットル以上持ったことはありません。しかし多くの場合、沢や雪渓で補充したり、飲んだりしているので、もっと多くの水を消費していることもあります。

 

私にとって4リットルという量はほぼ固定の数値で、増減0.5リットルくらいというのが普通です。ただ、これは装備の総重量とのバランスや気温、直射日光の当たり方も大きく影響します。登山は行動時間と速度で消化する距離が大きく変わるので、自分の登山経験に対して検証を繰り返して、適切な数値を求める必要があります。

 

 

チロロ岳

 

さらにグングン標高を上げて後ろを振り返ると、チロロ岳西峰と本峰が見えます。遥か彼方に芦別岳や夕張岳が雲海に浮かび、早朝に登る山の魅力を感じることができるでしょう。 

 

植生もハイマツが増えてきて、ところどころにお花が咲いているのを見かけるようになると、いよいよ稜線が近くなります。

 

こうして見るチロロ岳は素晴らしいですよね。登山者の多くは道内在住者でしょうが、道外の方にも親しんでもらえるといいですね。

 

夕張岳

 

雲海に浮かんで見えるのは、夕張岳と芦別岳でしょうか。

 

幌尻岳

 

稜線に出てヌカビラ岳の手前まで来ると、正面に幌尻岳が姿を現します。

 

こうして見ると、その名の通り本当に大きな山だと思えます。

 

ヌカビラ岳

 

稜線に出てから、北戸蔦別岳までは30分もかからない距離なのですが、あまりにも幌尻岳が美しく、登山道の周囲には数えきれないくらいのお花畑が広がっているため、なかなか足が進みません。

 

今回のルートのなかで、最もお花が多くて気持ちよく歩けた稜線が、このヌカビラ岳から北戸蔦別岳の間でした。

  

幌尻岳

 

お花畑と景色を楽しむだけならば、北戸蔦別岳のみに登るだけも十分価値があると思います。

 

北戸蔦別岳

 

北戸蔦別岳の手前には1張のやや大きめのテントが張られていました。景観だけで判断した場合、この場所より北戸蔦別岳の山頂に軍配が上がりますが、快適さや安全性を考えた場合、ここが最良だと感じます。

 

北戸蔦別岳から北日高全体の景色を楽しもう!

北戸蔦別岳

 

北戸蔦別岳には7時到着。登山口から3時間くらいのペースで登ってきた感じです。

 

北戸蔦別岳

 

先ほどのテントの他に、ピークに2張。

 

 

ちょうど山頂が縦走路の分岐点になっていて、ほとんどの人は戸蔦別岳を経て幌尻岳へ行くのでしょう。

 

1967峰と奥にピパイロ岳が見えますね。

 

ヌカビラ岳

 

ちょっと前に歩いてきたヌカビラ岳からの稜線。

 

ほぼずっと両脇にお花畑が広がっています。

 

幌尻岳戸蔦別岳

 

戸蔦別岳側にも1張のテント。

 

最高の景色を眺めながら、まずは戸蔦別岳へ向かいます。岩場が多く、ハイマツもあるので、慎重に。

 

北戸蔦別岳

 

表大雪に劣らないくらいの無数に咲き乱れるお花たちに癒されながら、ハイキングを楽しむことができるんですよ。

 

戸蔦別岳から七つ沼カールを見下ろしながら幌尻岳へ

北戸蔦別岳

 

北戸蔦別岳から戸蔦別岳へと向かう途中に後ろを振り返ると、台形状の北戸蔦別岳の稜線、奥には頭一つ突き出た1967峰、再び台形状のピパイロ岳へと続く稜線がハッキリと見えます。

 

北戸蔦別岳から戸蔦別岳までの区間は、わりと起伏がありますが、足元は比較的歩きやすくお花がたくさん咲いています。

 

ピラミダルな戸蔦別岳からは、いよいよ七つ沼カールを見下ろしながら幌尻岳へ。遠くにひと際高いエサオマントツタベツ岳が屹立し、中日高へと続く稜線も見渡せます。

 

幌尻岳への登りから振り返る七つ沼カールも、戸蔦別岳とセットで画になります。

 

なお、七つ沼カールへ下りるのであれば、戸蔦別岳側からのカールバンドは急峻なので、幌尻岳側から下りるほうが安全だと思います。

 

戸蔦別岳

 

途中に分岐点がありますが、こちらは幌尻山荘から六ノ沢出合を経て戸蔦別岳へ登るコース。1881標高点付近です。

 

戸蔦別岳

 

戸蔦別岳への急登をちょっと頑張れば、ちょっと広めの山頂へ出ます。

 

ここから見る幌尻岳の北カール、七つ沼カールは圧巻。

 

七つ沼カール

 

懐に抱かれる美しい七つ沼カール。幌尻岳が名山である理由の一つ。

 

カムイエクウチカウシ山

 

中日高の山々。

 

中央にはひと際高いカムイエクウチカウシ山。その右に1839峰、左にはコイカクシュサツナイ岳。

 

1967峰

 

後ろを振り返ると1967峰。

 

ピパイロ岳から見る左右均等な姿とは、またちょっと違う印象を受けますよね。

 

七つ沼カール

 

戸蔦別岳から幌尻岳へ登るには、一度大きく標高を下げなくてはなりませんが、その途中、左手にはずっと七つ沼カールを見下ろすことができます。

 

テントが一張見えますが、ここは最高のロケーションでしょうね。ヒグマも好きそうな場所なので、見かけることができるかもしれませんよ。

 

遠くは残雪が多く残るエサオマントツタベツ岳が。

 

七つ沼カール

 

再び登りに差し掛かる付近から、七つ沼カールへ下りることができます。

 

戸蔦別岳側からカールに下りると傾斜が急なので、幌尻岳側から下りる方が安全そうですね。

 

戸蔦別岳七つ沼カール

 

幌尻岳への登りがきつくなってきた頃、後ろを振り返ると戸蔦別岳と七つ沼カールが良い表情を見せてくれます。

 

戸蔦別岳山頂右には1967峰の頭とピパイロ岳が見えます。

 

午後、あそこまで往復しようと本気で考え中。

 

幌尻岳

 

お花畑が広がる登り、何度も裏切られるニセピークを経て、幌尻岳の山頂へ。このルートで登ると、結構なボリュームがありました。

 

二岐沢出合から約6時間40分、北戸蔦別岳から約3時間、戸蔦別岳から2時間を要しました(汗)

 

山頂は、さすがに日本百名山というだけあって、ざっと30人くらいの登山者で賑わっており、日高山脈のなかでは完全にイレギュラーな山頂でした。

 

ガイドツアーの団体さんもいて、道外から来られた方も多くおられた様子。ここまで来ていただいたことに、北海道民としてとても嬉しく思いますし、ガイドさん達にも感謝します。

 

ナメワッカやイドンナップの稜線を見ながら、一人だけこっそりビールで乾杯!

 

ほろ酔いで1967峰を目指します。 

 

幌尻岳から北戸蔦別岳を経て1967峰へ行こう!

ヌカビラ岳

 

ここからはコアな内容になりますので、幌尻岳のみに興味がある方は、スルーしてください。 

 

幌尻岳から戸蔦別岳を登り返し、さらに北戸蔦別岳だけまで約3時間近くかかって戻ってきました。時刻はすでに13時になっています。

 

西側の稜線はすっかりガスがかかってしまいましたが、東側の1967峰方面は視界良好なので、予定通り1967峰を目指すことにします。

 

なぜ今回ツラい思いをしてまで1967峰を目指すのか、その理由があります。

  1. 1967峰には過去2回、ピパイロ側から登っている。
  2. 今しがた天気のいい日に北戸蔦別岳から幌尻岳までの稜線を歩いてしまった。

要するに、ここで下山をしてしまえば、次回、再訪するための理由が少なくなるわけです。私は好きな山へは何度も訪れるのですが、この後の人生で、この山域の無雪期に何度も登れるほどチャンスは巡ってきません。

 

いまできることは、いまやるのです。

 

北戸蔦別岳

 

とは言っても、北戸蔦別岳の肩(標高点1901)へは、いきなりハイマツの障害物競走に変化します。前進速度が一気に落ちるんですよね。

 

それでも、北戸蔦別岳から1967峰まで、1時間45分を予定してスタートです。

 

1856峰北戸蔦別岳

 

北戸蔦別岳の肩から、次の標高点1856まではいったん標高を落とします。このコル付近までがハイマツと低灌木がうるさいところ。

 

コルまで下りると、一部にはお花畑が広がっています。

 

幌尻岳

 

地図上の標高点・1856と標高点・1904の中間付近から後ろを振り返ると、幌尻岳がずいぶんと遠くなりました。

 

この辺からはトツタベツカールがきれいに見えますね。

 

1967峰

 

ここから先はハイマツが少ない岩稜帯なので歩きやすいですね。

 

標高点が付いている小ピークには、たいていテン場があるので、ビバーグすることができます。でもニーズとして考えられるのは、伏美岳から幌尻岳への往復縦走を1泊2日とか2泊3日で行う場合のベースとしてではないでしょうか。

 

1967峰

 

南西側の稜線から1967峰への最後の登り。

 

高度感があり、両端が切れ落ちている箇所があるので慎重に。

 

1967峰

 

予定より15分くらい遅くなりましたが、何とか15時前に1967峰へ到着。

 

ここまででおよそ12時間行程です。

 

急げ!日が暮れる前に北戸蔦別岳、ヌカビラ岳、そして下山

北戸蔦別岳

 

帰りは北戸蔦別岳の肩まで、ハイマツ帯の登り返しがあるので、同じくらいの時間を見積もり、17時を目標に北戸蔦別岳を目指します。

 

かなりガスがかかってきましたが、北戸蔦別岳まで帰れば、あとは暗くなっても大丈夫。

 

1856峰北戸蔦別岳

 

途中には、広めのテン場がありますが、すべて無人。

 

この区間では誰ともスライドしませんでした。土曜日ですよ。

 

北戸蔦別岳の肩

 

北戸蔦別岳の肩への登り。

 

やはり、ハイマツとは仲良くなれそうにない。

 

北戸蔦別岳

 

予定通り17時に北戸蔦別岳へ帰ることができました。

 

薄暗くなってきて、沢まで下りたのが19時。

 

北戸蔦別岳取水ダム

 

登山口となる取水ダムに到着したのが20時頃。あとは歩いてチロロ林道まで下りるだけです。

 

もっとも日照時間が長いこの時期をフルに楽しむことができて大満足です。

 

その後、2016年の台風の影響でどのように変化しているかは未知ですが、幌尻岳を満喫できるおススメのコースですよ。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

  

※この記事は2014年7月6日の山行記録をもとに作成しました。