こんにちは!やまたび北海道のコモ子です。
今日は道南、遊楽部(ゆうらっぷ)岳のお話です。
遊楽部岳は渡島半島にある山で、いくつかの町にまたがるランドマーク的な山塊です。標高は1,277mとそれほど高くはありませんが、日本海と噴火湾の間にある半島に位置しているため、里からの比高がそこそこあります。
また、行程の半分以上は森林限界に達していないので、植生の密度も濃く、一帯はヒグマの生息域でもあります。
北海道百名山という性格もあるためか、北海道の山好きには良く知られているのですが、訪れる人はかなり少ない印象。
登山口から山頂までの距離が長く、北海道夏山ガイド⑤「道南・夕張の山々」でのコースタイムは、登り4時間50分と紹介されています。
この長い長い歩行時間がネックとなり、天人峡から登る化雲岳や、白金温泉から登るオプタテシケ山、日高山脈のイドンナップ岳などと並んで、敬遠されがちなのは否めません。
1度登った方の中でも、再訪する人はほとんどいないようす。しかし、私はこれまで2回遊楽部岳に登ってみて、とてもステキな山だと感じましたので、この記事のなかでご紹介します。
遊楽部岳(左股コース)登山口へのアクセス方法
遊楽部岳の登山口は、八雲市街地から国道277号(雲石国道)に入り、すぐに道道42号(八雲北桧山線)でせたな町方向へ45分くらい車を走らせます。
太櫓川にかかる暁橋から林道に入り、少し進んだところに登山口があります。
長い歩行時間に備え、朝早い出発が必須
遊楽部岳は基本的に日帰りで登られる山です。
この山は歩行時間が長くなるということで、早朝の出発を推奨しますが、理由はそれだけではありません。
途中に水場がないため、麓から担ぎ上げる水の量が多くなるのです。多くの人にとって、水の重量が山歩きに最も負担となるため、少なめに持つ傾向があります。
気温が高くなるお昼の時間帯では、汗をたくさんかきますし、後半は日差しを遮る場所があまりないため、必然的に水の消費量が増えます。
そういった意味合いもあって、出発はなるべく涼しい早朝の選び、できれば真夏を避けたいところです。
外が明るい時間が長くてまだ涼しい6月がベターで、涼しさや虫を避けることを求めるなら、9月や10月もいいでしょう。
ただし、一帯はヒグマの生息域。早朝の行動では遭遇する可能性も高まることから、十分な自己防衛にも心がけたいものです。
さて、私が訪れたのは2012年6月13日。札幌を24時に出発して登山口に4時到着。約4時間かかっていますが、高速道路を利用すれば、もう少し時間短縮ができます。外がまだ暗いと、登山口へ至る林道の入り口を見失う可能性があるため、事前にナビの設定をしておきたいですね。
途中の目印となるポイントは臼別頭というニセピーク、標高1,251mで、三角点があります。
そこまではとても単調な道のりで、正直なところ飽き飽きするかもしれません。暑寒別岳の箸別コースあたりも、こんな感じだったような。
5合目くらいから臼別頭が見えてきて、徐々に視界も開けてきます。
振り返ると雲海がきれい。
ちなみに、すでに登山口から2時間以上が経過しています。
雲海の下には北桧山の街並みが隠れていて、その奥には狩場山が見えています。狩場山は6月中旬でもまだまだ雪が残り、頂上部が白く覆われていますね。
さらに左に目を転じると日本海が見え、奥尻島も見えてきます。
北海道は広い面積の割には有人の島が少なく、天売焼尻も奥尻島も、観光で訪れる印象が薄れてきた印象です。
登山者は利尻島や礼文島に積極的に出かけているものの、奥尻島には縁があまりないようです。
せっかく海外からの観光客が増えているので、離島への誘致が進めばいいと考えます。道外から訪れるライダーさんやチャリダーさんにも、島巡りをしてもらいたいですよね。
マラソンや自転車といった、参加型のイベント開催によっても、離島の良さがもっと伝わるかしれません。
こうして奥尻島を眺めて、そんなことを思ったのでした。
臼別頭で大休止。しっかり休んで山頂まで頑張る
臼別頭まで登ると、山頂まで心地よい稜線歩きが続きます。ここは大休止のポイント。三角点もあります。
遊楽部岳を目標にしている人にとっては、ここで引き返すという選択肢はほとんどあり得ないでしょうが、ここをゴールとしても差支えないくらいの中継点だと私は思います。
ニペソツ山の前天狗、利尻山の長官山、芦別岳の雲峰山、浜益の幌天狗、どれも山頂まで登れなくても、満足できる中継点、臼別頭もその仲間だと私は思います。
上の写真コメントに「山頂はもうすぐ」と入れたものの、実際にはまだ1時間30分くらいの道のりが残っています。
ただ、全行程が長いので、相対的に見て「残りわずか」というイメージで考えてください。
では、どのくらいの距離なのかと言うと、下の画像を見てもらうとわかります。
どうです?結構な道のりがありますよね。
頂上付近は台形上になっていて、手前側に最高点が、奥に山頂があります。
撮影しているこの付近には、まとまった残雪があり、おそらくこの一帯がお花畑になるのかな、と推測でいます。
臼別頭からの道のりを振り返ってみると、すっきりとした稜線が画になりますね。
最高点を過ぎて、ハイマツに囲まれた細い道を進むと、山頂標識の広場はまもなくです。
長い道のりだから得られる、山頂に立つ喜び
山頂は広々としていて、テント泊も余裕でできるくらいの地積があります。
10年くらい前に来た時にも放置されていた、謎のスコップ2本もそのままで、当時の思い出がよみがえります。そう、土日の休みで雄鉾岳とセットで登ったのでした。
私はこの山に単独で登ったことはないので、残雪期に臼別頭まででも登ってみたいと考えています。違う景色も観たいですし、一人でないと感じられない空気があるためです。
もしかするとこの山の魅力は、何度か訪れてみないとなかなかわからないのかもしれません。それも、天候やお花の開花など、条件が良いときに初めて理解できるような気がします。沢からのアプローチだってあります。
夏道は距離がとても長いので、きっと誰もが十分な達成感を得られることでしょう。そもそも、思い付きで登るような山ではなく、かなり以前から強い情熱を燃やして、やっとの思いで登りにくるのでしょうから、、、
これからも多くの方にとって、この山に訪れる動機が「北海道百名山の一つとして登りたい」ということでいいと思います。私はもう少し掘り下げて「なぜ名山に選ばれたか」という点を、何度か通って感じ取ってみたいです。再訪して、ここに追記できればいいですね。
感動を共有できる、そんなブログにしていきたいと思います。