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旅先でのキャッシュレスの話

 

新千歳空港から札幌市内を結ぶ高速バスは2社(北海道中央バスと北都交通)で運行しており、ほぼ交互にやって来る。

 

北海道中央バスでは交通ICが使えるが、北都交通では使えない。しかし北都交通ではクレカのタッチ決済が利用できるが、VISAやJCB、アメックスなどのタッチはできてもマスターカードのタッチはできないという制約もある。

 

共通で使えるのは現金と回数券だろうか。

 

福岡市の地下鉄では交通ICとクレカのタッチ決済の両方が使えるようになったように、新千歳空港連絡バスもそうなれば良いと感じる。しかし運行しているのが別会社なので、なかなか進まないのかもしれない。

 

問題点は同一路線を2社で運行している点にあると思う。乗客は先に来たバスに乗るので、どちらかを選択するのは無理な話だ。

 

つまりユーザーがサービスを選ぶのではない。言い方が悪くなってしまうが、バス会社がユーザーに自社が提供するサービスを強要するカタチになっている。

 

交通ICは日本人には馴染みがあるが、外国人観光客にとってはクレカのタッチ決済の方が利用しやすいだろう。

 

私もこれまで渡航先の国々で現地の交通ICを利用してきたが、最近はクレカのタッチ決済が使える国ではそちらを使う傾向にある。チャージする必要がないからだ。

 

交通ICは高齢者にもかなり普及しているので、A社で使えてB社使えないということは、間違いなく混乱を引き起こす。

 

迷惑するのは現場で働く従業員ではないだろうか。訊かれるたびにイチイチ説明しないとならないし、不満や苦情を直接受けることにもなるからだ。

 

先日行った那覇でも不便さを感じた。交通ICが使えないバス路線がある。

 

政府はキャッシュレスを推し進めているし、私もほとんど現金は持ち合わせていない。特に硬貨は500円玉1枚くらいだ。そうなるとバスの車内で両替が必要になってくる。面倒くささがハンパないし、ジャリ銭が増える。

 

那覇でスーパーを利用した場合、外国人3人組がそれぞれレジで会計しようと並んでいたが、決済方法が分からずに当惑していたように見受けられた。店員さんがとても親切に対応していたので問題がなかったようだ。

 

私も海外のスーパーやフードコートを利用する時は、購入方法や決済手段を把握するのにいつも当惑する。だから外国人旅行者の気持ちはよく分かる。おもてなしは確かに大切だが、そこには相手の視点、特に弱者の視点をくみ取ってこそ真のおもてなしになると思う。

 

最近は有人レジであっても決済端末が別というパターンが多いし、セルフレジもあるし、イオンではレジゴーなんて新しいサービスもある。

 

日本人には便利になっていても、日本語が分からない外国人にはかえって不便なのかもしれない。

 

別の話。

 

以前、自販機で飲み物を買おうとしていた外国人から、こんなことを訊かれたことがある。彼は「はやかけん」を持っていた。「このICカードはこの自販機で使えますか?」と訊いているのだ。

 

正直、私にも分からなかった。交通ICは種類が多く、相互利用の関係が複雑すぎる。

 

自販機にはSUICAかPASMOのマークはあるが、それ以外はwaonとかnanacoのマークしか並んでいない。

 

私は「Maybe...」としか答えられなかった。

 

自販機でよく利用するCoke ON Payなんて、外国人観光客には使えないだろう。

 

その他にもこの手の話はたくさんあって、マレーシアのATMでPINコードの入力を6桁で求められるなどもその類ではないだろうか。

 

話が広がってしまったって申し訳ないが、デジタル化が進んでローカルには便利に進化していても、旅行者にはついていけずに不便ということはちょくちょくある。

 

アジア圏は国の数が多い割には距離が近くて人の往来が多い。国内はもちろん、国境をまたいでどこでも相互利用できるサービスが増えていけばもっと便利になって嬉しい。