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2回の長旅で感じた『旅の質の低下』について

2024年は海外旅行へ頻繁に行くのをやめ、渡航は3回に留まった。でもそれぞれの期間はいつもの旅より長かった。

 

1回目は上海+バンコク、2回目は出張に乗じてイタリア+ハンガリー+ドイツ、3回目は台湾+ベトナム+韓国だ。

 

1回目こそ6日間だったけれど、2回目は18日間、3回目は12日間と、いつもより3~4倍の長い期間の旅をした。

 

これには少しだけ狙いがあった。簡潔に言うと、期間が長くなればなるほど充実するのではないかと考えていたのだ。

 

しかし現実は違った。

 

今日のブログではその辺についての教訓をまとめておこう。

 

長期になればなるほど質が低下するという結論

せっかく海外旅行へ行くのだから、日程の許す限り現地で過ごそうと誰もが考えると思う。

 

高い出費なので元を取ろうと考えてしまう私は、日数あたりのCP値が高いか低いかを考える。つまり1泊2日で4万円かけるのと、3泊4日で4万円かけるのとでは、後者のほうがCP値が高いと考えるわけだ。

 

でもそれは誤りだったと気付いた。

 

なぜか。

 

日数が増えるにしたがって、旅の質が下がっていくのだ。少なくとも私の場合はそうだった。

 

欧米の旅行者に比べ、日本人のそれはショートトリップで余裕がないなどと指摘されることがあるが、私はそれでも良いと思う。

 

こんな私でも会社員である。少なくとも30代以降は、3日を超える休日が与えらるような会社には勤めていない。年末年始休暇もゴールデンウィークも夏休みもない会社ばかりに勤めてきた。たまたま最近はわがまま言って休ませてもらっているだけ。だからそもそもそういうリズムで休むことには慣れていない。

 

こんな人生を送ってきたのに、ある年代になってからいきなり自由時間を謳歌しようとしてもそれは無理な話だろう。

 

これは会社人生を歩んできた男性が、定年退職後に一気に自分の時間が増えたり、20年近く子育てをしてきた女性が、子供たちが巣立った瞬間人生を見失いかけたりするのと似ていると思う。

 

旅に効率や生産性を求めるのはどうかと思うという話は何度か書いたが、のんびりと過ごして気分が良くなったり、家族団らんできたりするのであればそれには意味があると思う。

 

でも、何も得られないままダラダラと過ごすのはハッキリ言って時間の無駄だと割り切る。自宅に引きこもってコンテンツを消費している時間と変わらない。休日に一日中YouTube動画を見ながら酒を飲んでいたら罪悪感を抱くことになるだろう。そういう価値観と感覚を持っている私なのに、無計画で長旅をするから質が低下した時間を過ごすことに苦しむのだ。

 

これについては台中滞在中に書いたブログの中で少し触れた。

 

私は今まで旅上手だと思っていたが、実はそうではないと感じた理由には前述の意味が含まれる。

 

正直言って、ノマドと言われるスタイルで暮らしている人たちは本当にすごいなと感心する。今回の旅で、私には無理だと悟った。

 

繰り返すが、例え海外であってもただ漫然と過ごすのであれば、それはムダ以外の何物でもないと私は思う。それならば自宅で生産的な時間を過ごしたほうが良い。だから旅にも目的が必要になるし、綿密に計画することが重要だと最近は思う。

 

これについては異論もあるだろう。

 

旅慣れた人こそ、無目的な旅の中で発生する一期一会の出会いや、予定外のハプニングが後々印象に残ることを知っている。ひとりで旅することの魅力は、ここに尽きると言ってもいいかもしれない。

 

これには私も同意するのだが、スマホが普及して情報に溢れ、会話なくして衣食住すべてが完結できる便利な世の中では、こうした偶然がなかなか起こらなくなってきているようにも思う。

 

そもそも現代人はやることが多いので、旅で起こる偶然を求めることなど時間の無駄に感じてしまうだろう。

 

それに若い人たちと、成熟した大人が偶然の体験によって得られる何かは、その意味合いが異なると思う。

 

例えば勢い余ってトラブルに遭遇し、現地の方々にお世話になってピンチ脱出なんて話は若ければ美談で許されるが、私のような中~老年ではむしろ糾弾されてもおかしくない。痛い話でしかない。この話は、バックパッカーからの卒業を意味することと関係しているのかもしれない。

 

人は加齢とともに成長する。やはり年齢相応の旅と言うものがあって然るべきなのだ。

 

来年の旅に向けて

やや話が逸れたので話を戻す。

 

今の私にとって海外旅行の位置づけは、何かの目的を達成するために行く、それだけで良いと思う。

 

もしリフレッシュするためだけに海外旅行へ出かけるのであれば、いかに短期間で中身の濃いものにするか、これからはここを追求しようと思う。移動時間に対する滞在時間の比率が低いことは非効率なようだが、全体的には旅の質が高まると考える。

 

具体的にソウルや台北、香港であれば日帰り、バンコクやシンガポールへ行くのでも現地滞在は数時間で十分だと思う。現地の空気を感じ、食事をするだけでたいてい満たされるものだ。時間当たりの出費は高いが、私にとってはきっとこれが最適解なのだ。

 

まとめると、長期になればなるほど旅の質が低下する原因は、つまるところ目的がはっきりしなくなることにある。

 

逆に言えばどれほど長期になっても、細部にわたって綿密に計画されていれば、質の低下は起こらないのかもしれない。

 

ただ私には無理だ。

 

アウェイの環境下で、長期間にわたってフィジカルやメンタルを自宅同様に維持するのが難しい。食事も変わるし睡眠の質だって影響を受ける。これらを考慮しないとならないからだ。

 

今年度の反省を踏まえ、来年は次のようなパターンの海外旅行をすると思う。

  1. 海外マラソン参加の目的を達成するためだけの旅
  2. 先日登れなかった台湾の山に登るためだけの旅
  3. ちょっとリフレッシュするだけの旅。例えば今週末ちょっとソウルへ行ってくるみたいなもの。

ただの遊びであっても学びがあって、精度が向上していくことを実感している私であった。 

 

ハノイ

今回の旅ではベトナムのハノイに5日間滞在した。おととしから3年連続で訪れているが、今回が最も質が低かったように思う。ハノイマラソン大会参加を合わせても現地滞在は2日で十分だという結論だ。一都市あたりの滞在日数は1日、最大2都市までが理想。来年からはそうしよう。