
先日バリ島で開催された2025年メイバンクマラソンに参加したので、その記録を残しておきたい。
人気の大会なので日本からの参加者も多いと思うが、少し注意点があるので共有したい。
この記事ではエントリーや大会当日へ向けた手順をメインで紹介する。
エントリー、抽選、支払い
本大会は、エントリー後に抽選が行われる仕組みだった。
エントリー時には参加種目を選択し、希望種目の抽選に落選した場合は、第2希望があればそれも選択できる。
この時点でクレジットカード情報の登録が必要となり、抽選に当選すると、即座に参加費が引き落とされる。
また、会場までのシャトルバスを利用する場合は、追加で申し込みが必要となる。
乗車場所の選択もこの段階で決めなければならず、宿泊予定地がすでに決まっていることが前提となる。
海外からの個人エントリーでは、このタイミングで宿泊地を確定するのは難しいかもしれない。
とりあえず仮の予定地を選んでおき、後から変更することも可能だ。
少々手間はかかるが、この点については後ほど詳しく触れたい。
基本情報
ここでは私が参加した2025年の情報をもとに記述する。
公式サイト
エントリー期間、料金
- エントリー期間:2025年2月12日~24日(14日間)
- 抽選結果の発表:2025年3月24日
つまり6か月前にエントリーを完了し、5カ月前に抽選結果の発表となる。
制限時間
- マラソン 7時間
- ハーフマラソン 3.5時間
- 10km 2時間
どちらも制限時間にゆとりがあるので、途中で歩いてしまうランナーでもとりあえずは完走できるだろう。

出走時間はフルマラソンが3AM、ハーフマラソンが4AMであり、東南アジアで開催される大会としては標準だろうか。
開催時期の気候
マラソン大会が開催される日程は、たいてい最適なシーズンが選ばれるものだし、そして晴天率も高い。
本大会は乾季で観光ベストシーズンにあたり、東南アジア開催の大会にしては比較的涼しく快適に走れるのが嬉しいところだ。
航空券取得
抽選で参加権を得たら、次は航空券の予約に移る。
私が海外マラソンに参加する時の順序は基本的に
- マラソン大会へのエントリー
- 航空券の手配
- 宿泊手配
この順序で行う。
私は地方(札幌)在住だから、渡航ルートの選択肢が少ない。バリ島も例外ではない。
主なパターンは3つ。
- 東京または大阪まで国内線で移動し、国際線で現地へ赴く。
- 札幌から出国して一番近いソウルで乗り継いで現地へ赴く。
- 札幌から出国してソウル以外のどこかで乗り継いで現地へ赴く。
今回は羽田空港までANAで移動し、羽田からエアアジアでクアラルンプール経由のバリ島入りにした。羽田ークアラルンプールーデンパサール往復が安かったからだ。
札幌ー羽田ーKLーデンパサール往復の総額は¥51,870だった。
実は札幌から香港航空で出国し、香港で乗り継ぎバリ島入りする選択肢もあった。
しかし費用面でケチってこの選択肢は却下した。これがのちに大きな代償を払うことになったのだが。
ホテル予約
バリ島は観光地なのでホテルの選択肢は多い。グレードもピンキリであり、4つ星ホテルでも日本円で1泊5,000円程度だ。
問題はどこにホテルを取るかだ。
バリ島は主に、クタ~レギャン~スミニャック、デンパサール、サヌール、ウブド、ヌサドゥアの5カ所が観光拠点となっている。
どれも島の南部に位置し、空港もそれらの地域からそれほど遠くない。
ではマラソンの受付会場やスタートポジションはどこなのかと言うと、2025年のケースではBali United Training Centerだ。
一番近いだろうデンパサールからでも片道20km程度あり、移動には時間がかかる。
どの辺りのホテルを予約すればいいかと言うと、最適解は見当たらない。
会場周辺のビーチにもホテルは少なくない。しかしレースに照準を当ててコンディションを整えていくようなガチで走る方でもなければ、この周辺にホテルを取っても退屈するかもしれない。
そういう私はクタ~レギャン地区を予約した。ここが本大会の注意点だろう。
レースの詳細についての発表
さて、抽選結果が出たら、まもなくレースキット受け取りのQRコードが送られてくるのだが、その後のフォローが全くない。4月、5月、6月、7月と過ぎていき、8月に入ってからもレース情報が得られない。
- レースキットはいつどこで受け取れるのか
- どこからスタートすのか
- コースの詳細はどうなのか
とにかく、何も分からない。
公式ウェブサイトを確認しても、更新されている気配がない。
そこで生成AIで調べてみるのだが、最新情報が見つからなかった。
結局、出発数日前になって公式ウェブサイトの一部が更新されているのに気付き、情報を得た。同じタイミングで運営側からメールがジャンジャン届き始める。WhatsAPPでも情報が届くようになるのだが、もう少し早めに情報が欲しいと思った。
インドネシア入国の準備

次に渡航直前の準備について触れる。
インドネシアのビザ
インドネシア入国にはビザが要る。
これは事前にe-VOAに登録しておくと良い。申請は14日前から行える。
申請のためのサイトは偽物や代行サービスのサイトも存在するので、在インドネシア日本大使館のウェブサイトなどから本物にアクセスする。
ビザの種類はインデックスB-1でよい。
メールに添付されてくるPDFをダウンロードし、印刷しておけば安心だ。
バリ島の観光税
加えてバリ島では観光税の支払い義務がある。
LOVE BALIというサイトやアプリがあるのだが、これのクレカ決済がなかなかうまくいかない。
JCB提携カード、VISA提携カードでダメ、結局マスターカード提携カードで決済できた。全部で4回目で通った。
税関申告書とアライバルカード
さらにウェブ上で税関申告書に記入し、QRコードを入手する必要がある。
これは入国時に税関係員によって、ハンディでスキャンされるから必須だ。
さらに入国してから気付いたのだが、電子化されたアライバルカードの提出も必要だ。
これも必要事項を記入してQRコードを入手する必要がある。
アライバルカード入力と税関申告がセットになっているようだったので、私が行った税関申告書だけの記入は最新のプロセスではないのかもしれない。
以上ををまとめると、
- e-VOAの取得(ビザは印刷しておいたほうがよい)
- LOVE BALIから観光税の支払い
- eアライバルカードと税関申告書の入力とQRコードの取得
が必要になる。
これらにかかった費用は、
- e-VOA:¥4,831
- 観光税:¥1,461
※実際にクレジットカード会社から請求があった金額
入国は顔認証ゲートで
バリ島の空港はイミグレーションが分かりずらい。
昨今、どの国でも急速に電子化が進んだため、以前のように動線が一つではなく、アナログとデジタル、ローカルと外国人とで動線が異なる設計になっている。
バリ島では意外とここが分かりずらい。
顔認証ゲートがたくさん設置されているのに、それ以外のレーンに外国人が長蛇の列を作っている。
最初はそちらに並んでいたが、試しに顔認証ゲートで試してみたら、そのまま通過できた。したがって、e-VOAを取得済みの日本のパスポート保持者は、そのまま顔認証ゲートへ進めば良いようだ。
その後の税関では税関申告書のQRコードをスキャンされるので、これもすぐに提示できる準備をしておこう。

入国したら動線に沿って建物の外へ。そのままマラソンの受付会場へ向かうなら、現地通貨入手やコンビニでの買い物、食事も済ませてからタクシーに乗ったほうがいい。空港の作りはいかにもリゾートという感じ。
受付と受付会場へのアクセス

前述の通り、会場となるBali United Training Centerは主要な拠点から遠い。
私は前日の8月23日(土)の正午にン・グライ国際空港に着いたから、そこからGrabで移動することにした。
荷物がリュック一つと少ないから、一度空港の敷地外へ出て、Grabバイクで移動しようと考えていたが、帰りにGrabバイクを呼べない可能性がある懸念からGrabカーを選択した。
Grabカーの費用はRp338,400。クレジットカード会社からの請求は2,866円である。事前に生成AIに相場を確認しておいたから、これが妥当な価格だということを知っていた。即決。でも、受付に行くだけで片道2,866円もかかるのはどうなんだと思う。
そして車内では強制英会話教室が始まる。
受付が終わった後、クタへ戻る話をしたら、ドライバーから帰りの送迎の申し出があった。そりゃあそうだろう。空車で戻るわけにもいかない。
彼が「幾らならいい?」と訊くので適当に対応していたら、「Rp700,000でどうだ?」と提案してきた。日本円にしたら¥6,000を超える。
冗談じゃない。いくらなんでもそりゃあ高い。行きがRp338,400なのにどうして帰りが2倍以上のRp700,000なのか意味が分からない。
それに手持ちの現金が少なかったから、帰りもGrabアプリから配車して現金を使いたくなかった。
それを伝えると、彼は「Grabのゲストドライバーだからそれはできない」と言う。
「じゃあ、ダメだね。Grabで別のドライバーを呼ぶよ」と言うと、彼も食い下がる。Rp600,000か、まさかRp500,000かと。
私も私で、行きはRp338,400だったGrabの決済画面を見せる。そもそも手持ちの現金がRp400,000しかない。あとは幾ばくかのマレーシアリンギットだけだ。
「それならマレーシアリンギットでもいい」と彼が言う。または途中でATMに立ち寄るからそこでキャッシングすれば良いと言う。
最終的にRp400,000で手を打った。相場よりちょっと高いが、この後でRp50,000程度を値切ったところで、気分良く終われないだろう。それにこれも何かの縁だ。
彼は受付にかかった1時間半くらいの時間を辛抱強く待機してくれたし、途中でコンビニに寄って私が車中でビールを飲むのもOKしてくれた。
さらに翌日のシャトルバスの出発場所にも立ち寄って、細かく教えてくれた。根はいい人だ。
海外を旅するとこういう場面によく遭遇する。これを「ぼったくり」と表現すればそれまでだが、単純に多くを支払ってくれそうな見込み客にそれなりの金額を要求している、ただそれだけの話なのである。
話を戻す。
メイバンクマラソンの受付会場は市街地から離れていて、しかも交通費がかかる。
複数人で行くならまだしも、ソロでの参加の場合は大きなコストになる。
そして何よりも渋滞が酷くて移動に時間がかかり、私の場合はタイミング悪く、受付にも時間がかかった。空港→会場→ホテルで6時間だろうか。
ちなみに受付会場付近にも、タクシーやGrabバイクもたくさん待機している。バイクの方が安いうえ、渋滞の影響も少ないだろう。
ただ、距離が長いので疲れるかもしれない。

ン・グライ国際空港の到着ロビー(屋外)に出たら、左に曲がって直進するとGrabやgojekの配車サービスのミーティングポイントがある。係員がいるので、行き先を告げてスマホを預れば操作も代行してくれる。価格が問題なければドライバーとマッチングして引き継いでくれる。ちなみにGrabバイクは空港内に乗り入れできないから、空港の敷地外に出て手配する必要がある。ただし、敷地外へ出るまでたいした距離ではない。

ドライバーの後ろについて行って、パーキングロットへ。あとは現地まで乗っているだけでいい。
受付も時間がかかる

繰り返すが受付にも時間がかかった。
私が受付会場に到着したのは前日の15時頃だったが、この時間帯は待ち時間が長かった。また、駐車場から会場まで結構歩く。
私が今までに参加してきたのべ34レースの海外マラソンのうち、レースキットを受け取るのに1時間以上を要した大会はなかったと記憶している。
ちょっと長くかかったかなと記憶しているのは、台北マラソンとローママラソンくらいだろうか。それでもせいぜい30分程度だったように思う。
でもメイバンクマラソンは炎天下で1時間くらい行列に並んだ。サングラスをかけて日傘をさしている人も少なくない。誘導しているスタッフも大変だ。
誤解を招かないように付け加えると、これは別に運営側が悪いわけではない。むしろ運営はしっかりとされていた。単純に訪れた時間帯、タイミングが悪かっただけだろう。スタッフの方々には本当に感謝したい。
ただし、遠因として会場が市街地から遠いこともあると思う。市街地で受付が行われれば、もう少し分散されるのではないかと思った。

レースパックコレクションに関する案内。私がこの情報を知ったのは8月に入ってからだった。
シャトルバス

スタート位置が市街地から離れているので、地元の人以外はシャトルバス利用が必須と思われる。ただしこれにはちょっと注意点があるので、まずはそこについて触れておきたい。
シャトルバス利用の申し込みと注意点
エントリーの際にシャトルバス利用の有無と、乗降地点の選択がある。
エントリーをした2月の時点ではバリ島の地理に明るくなかったので、とりあえずデンパサールで乗降する予定で申し込んだ。
しかし、最終的に宿泊先として決めたのはクタである。
大会が近くなって、シャトルバスの乗降場所の変更ができるのかどうかが気がかりだったが、前述の通り大会案内どころかシャトルバスに関する情報など、大会本部から一切通知がなかった。
大会5日くらい前になってやっとシャトルバス情報のメールが届いたが、乗降場所はエントリー時のデンパサールになっていて、整理番号も振られている。これでは困る。
そこでメールに記載されている電話番号充てにWhatsAPPでメッセージを送ってみたが、1日経っても返信がない。事務局充てにメールを送ったが、こちらも返信がない。
結局、羽田空港から出国する直前になって、WhatsAPPで「すぐに対応します」の返信があり、メールには「WhatsAPPで問い合わせしてください」と返信があったので、シャトルバスの乗降地点の変更はWhatsAPPで問い合わせるのが正しいようだ。
さて、「すぐに対応します」と返信があったが、結局、前日の午後になってやっとクタからの乗降についてのメールを受信した。本当に最後の最後まで懸念事項を抱えてのレース参加だった。
エントリーの段階で、どの付近で宿泊するかをだけでも決めておくことを薦めたい。
朝の乗車時間
シャトルバスは30分おきに出発するスケジュールになっている。
乗車時間は、もちろん参加種目によって異なる。メールにて推奨時間の提案がある。
私は推奨されたとおり午前3時出発のバスに乗ってみたが、午前4時前には会場に着いたので、5時30分出走までかなり時間を持て余してしまった。
この辺りは、バリ島初見者には判断が難しいと思う。
現地でしっかりアップをしてガチで走る人にはちょうど良いだろうし、私みたいなほとんどファンランな人には早すぎるかもしれない。

シャトルバスに関する概要。帰りも利用できるので忘れないでおきたい。ただしEXPO会場からやや離れていて、大通りの近くのパーキングロットから出発する。
乗車に関すること

シャトルバス乗車前にメールに届いた整理番号のチェックが行われる。だからスマホの携帯は必須だ。
スタッフの確認を受けると、乗降地点別に色分けされたリボンを手首に付けられる。帰りのシャトルバス利用時もこれが目印になる。
シャトルバスはなんと2段階構成だ。
大型バスで会場近くまで行った後、マイクロバスに乗り換えてスタート地点付近まで移動する。本当に手の込んだ対応で頭が下がる思いだ。逆に言えば、そのくらい当地の交通事情が大変だと言える。
移動時間はクタから40分くらいかかる。
なお、クタの搭乗場所はSentral Parkir Kutaであり、私が宿泊したホテルからは徒歩で20分かかった。そして帰りもここで下車となる。
なお、深夜早朝でもGrabバイクは呼べるので、少し離れたホテルを予約しても問題ないだろう。徒歩でも問題ない。治安は悪くない。
出走前の荷物預かり、トイレ、給水について

出走前のトイレと荷物預かり、給水もある。
しかし、それらは会場へ入るX線検査ゲートの手前にあった。
一方で自分の出走区分の中で先頭に立ちたければ、早く並ぶ必要がある。早く並べば前方から出走することも可能だが、荷物を早く預けないとならないし、トイレや給水も終えておかなければならない。
ガチで走る方には悩ましいところだと思う。

Bag Depositに関する情報。受付時に専用バッグを貰えるので、それに入れて預けるようだ。
当日、そしてイベント終了後

レースの内容については簡単に触れるだけにする。
特徴的なのは、フルマラソンとハーフマラソンのコースがほとんど重ならないことだ。
私が参加したハーフマラソンは序盤の5.5kmまで平地の直線で、それから11km地点まで登り、今度は17km地点まで下りとなり、最後は平地となる。

5.5kmから17kmまでの区間では、沿道には朝早くから民族衣装に身を包んだ子供たちや大人が一列に並び、声援を送ってくれる。
道幅が一気に狭くなるため、彼らとの距離が近く感じられるだろう。
また、ヒンドゥーの寺院も多く、中心街とは異なる景色の中を駆け抜けられる喜びがある。
誰もが感動するに違いない。

山間地を過ぎると、ラスト4kmはほぼ平坦になる。
ゴール後の動線は、道路の下を通って反対車線側のBali United Training Centerへ続く。
メダルやお水などを貰い、EXPO会場を通っていったん海側に出て、道路側のシャトルバス乗り場まで長い距離を歩かないとならない。
あとはシャトルバスに乗って帰路につく。ただしこれも移動時間がかかり、クタのホテルに帰ったのは午前10時過ぎだった。
東南アジア開催のマラソン大会では、レース後にホテルの朝食時間に間に合うことが多く、たいていの場合シャワーを浴びてからひと休みし、正午にチェックアウトできるものだ。
しかしメイバンクマラソンでは、それは少し厳しいかもしれない。
もしその日のうちに出国するのであれば、早くても14時台のフライトを予約したほうが安全だと思う。

スタート時点では空はまだ暗いが、30分くらいで空が明るくなり、右手に日の出とアグン山が眺められる。

メイバンクマラソンのコースは種目によってかなり異なる。運営サイドの苦労が窺える。
おわりに
メイバンクマラソンはバリ島というリゾート地で開催されるだけあって、参加者の国籍も多彩でかなり人気が高いようだ。
私がこれまでに参加したことがあるリゾート地開催のマラソン大会には、プーケット、ホノルル、ボルネオ(コタキナバル)、パタヤがある。それらの大会と比べても、大会そのものに特徴もあるし、ついでに観光もできるので楽しいと思う。
一方で会場までの移動に時間がかかり、受付と当日で市街地から2往復するのには正直言って疲れた。
その辺りを理解して参加を検討していただければと思う。
最後に余談になるが、出国10時間前になって帰国便が34時間の遅延となってしまった。
帰国後すぐに予定があったので、キャンセルして急きょホーチミン経由で帰ることにした。
せっかくのリゾートである。
たまにこういう想定外のことも起こるので、あまりタイトなスケジュールは組まない方がいいと思う。