北根室ランチウェイの冬|途中敗退して一般道をつないで弟子屈

 

北根室ランチウェイは、中標津町から弟子屈町美留和までの全長71.4kmのフットパスで、KIRAWAYという愛称で親しまれています。

 

⇨2020年をもって終了しました。

 

そもそも山岳地帯が多い日本では、ロングトレイルを歩くという文化があまりありません。しかし、北根室ランチウェイでは、生活圏と自然歩道をうまくマッチングさせて全長71.4㎞ものロングトレイルを構成し、キャンプ場や民宿、牧場のトレーラーハウスなどで宿泊をしながら、数日かけて楽しむ工夫がなされています。

 

6つのステージで構成され、楽しみ方は多種多様だと思いますが、公式ウェブサイトでのモデルプランでは、全ステージを歩くのではなく、おおむね1日20km程度を2泊3日で歩くようなプランが紹介されています。ですから、各自のスケジュールに合わせて柔軟な計画を立てることが可能です。

 

私がこの魅力を感じたのは1月、週末の2日で楽しもうと思いました。結局、雪解けまで待てずに2月に決行したものの、考えていたよりもはるかに雪深く、気象条件も悪化していることもあって、途中で大幅に計画を変更。中標津町から摩周駅までのほとんどの区間を、一般道を使って歩きました。

 

中標津バスターミナルから開陽台を目指して

北根室ランチウェイ

 

北根室ランチウェイのステージすべてを、サポートなしで歩くことを考えた場合、入口と出口が異なることが一番の課題になります。

 

ただ、一般的な登山と異なる点として、入口も出口も公共交通機関を利用することができるため、待ち時間さえうまくコントロールできればいいわけです。登山に比べれば、行程の途中でヘルプを求めることも容易です。

 

最初のステージ1が中標津町を起点としているため、多くの人は中標津町から西行きに行動するでしょうから、中標津バスターミナルか、中標津空港がスタート地点になることと思います。

 

札幌出発の場合、根室行きの深夜バスに乗車し、中標津バスターミナルで途中下車してスタートできます。金曜の夜に仕事を終え、週末ですべて歩くということも選択肢の一つ。

  

北根室ランチウェイ

 

まずは、最初の目的地開陽台を目指して歩き始めます。開陽台や武佐岳、養老牛温泉など観光資源が多い町ですが、市街地を歩く機会は滅多にないでしょう。

 

最初は「ゆめの森公園」まで約2kmの道のり。

 

コンビニに寄り道して食料を調達することもできます。

 

北根室ランチウェイ

 

道東の2月。早朝の気温はマイナス10度以下ということも。

 

北根室ランチウェイ

 

ところどころに表示がされており、子供たちと一緒に歩くと、冒険心を掻き立てられるかもしれません。オリエンテーリングのようなイメージ。

 

公園のなかのシンプルな表示ですが、地元自治体との調整や実際の設置作業など、有志で行うとなると大変なものですよね。

 

公園内を歩くためには、スノーシューかスキーが必要なくらい積雪があります。

 

夏には何でもない道も、冬に歩くと1時間以上を要します。

 

中標津空港

 

公園の裏手から中標津空港へ。

 

ルートでは次に牧場の敷地内を歩くことになりますが、ラッセルが現実的ではないので、公道だけをつなげて開陽台へ向かいます。

 

北根室ランチウェイ

 

歩くスピードでなければ、気付けない表示。歩く人のために表示をしているということ。

 

まったく無駄がなく、設置した方々のスタンスが垣間見られます。

 

北根室ランチウェイ

 

どこまでも続く一本道。二十六線はほぼ一直線に7kmもあるんです。

 

開陽台まで、誰ともすれ違わないなんてことも。

 

開陽台

 

第1ステージの終点、開陽台。

 

冬景色を見られる人は、訪れた人の1%もいないでしょう。

 

桜井牧場さんの敷地内をショートカットしても、4時間を要します。

 

開陽台

 

冬期間の展望館は、閉鎖されています。

 

自販機の利用やトイレの利用もできませんので、暖かい飲み物が必要なら、コンロを持参するといいですね。

 

開陽台

 

屋外のトイレも利用できません。

 

開陽台から牧草地帯を歩くところをエスケープして摩周駅へ

北根室ランチウェイ

 

開陽台から第2ステージ。

 

北根室ランチウェイ

 

ランチウェイなので、牧場やバックカントリーを歩くことに、本来の楽しみがあるのですが、雪の状況や気象状況を勘案して、柔軟にルートを変更する工夫も面白いでしょう。

 

北根室ランチウェイ

 

牧場の片隅で一休み。

 

趣味でウォーキングをされている方には、ぜひ一度歩いてもらいたいと思います。

 

登山ともまた違う楽しみ。スピードハイクでは経験できないような時の流れ方。シンプルですが、おそらく多くの人にとって、初めて感じる何かがあることでしょう。

 

北根室ランチウェイ

 

人気のモアン山へは、天気がいい日に訪れたいポイントですね。

 

西別岳や摩周湖畔の道もステキなハイキングコース。

 

北根室ランチウェイ

 

天候が悪くてエスケープするには、道道885号で標茶町へ、国道243号を左折して弟子屈町へ入ります。

 

北根室ランチウェイ

 

弟子屈市街地までは15kmあり、途中に峠もあります。

 

交通量がそこそこあるので、冬の徒歩は推奨できません。

 

摩周駅

 

ステージ5と6の正規ルートを通過した場合、ゴールとなるのは美留和駅。

 

エスケープして一般道を歩くルートとなった場合、摩周駅をゴールとするのが妥当です。

 

 

おわりに。北根室ランチウェイに、多くの方が関心を寄せていただければ嬉しいです。

 

※この記事は2015年2月8日の旅程をもとに作成しました。