黒岳(層雲峡ロープウェイ)|初雪の表大雪御鉢平の眺め(10月中旬)

 

大雪山系の黒岳は、層雲峡温泉からロープウェイとペアリフトを乗り継げば、1時間くらいで山頂まで登ることが出来る表大雪の玄関口です。最高峰の旭岳とは異なり御鉢平へのアクセスが良好で、北鎮岳や白雲岳などへも日帰りが可能です。また、7月~9月の夏山シーズン中は、銀泉台や大雪高原温泉、愛山渓温泉への縦走も可能なので、あらゆる面で好都合な場所だと言えます。

 

いっぽうこの記事では、大雪山系の紅葉シーズンが終わり、初雪の便りが届いてしばらく経った黒岳についてお話します。具体的には10月中旬頃なので、すでにそこそこの積雪がありますが、登山客も観光客も少なく、夏山に比べて静かな山を楽しむことができるためとてもおススメ。冬山のように特別な準備もほとんど必要ありませんし、層雲峡温泉までのアクセスも雪道の運転が不要、気象条件さえ良好であればライトで楽しい山歩きになること間違いなしです。 

 

では、さっそく初冬の黒岳へ行ってみましょう。

 

晴れ予報を信じて、早朝から雲の上に飛び出して

大雪山系黒岳ペアリフト

 

黒岳山頂へは、ロープウェイとペアリフトを併用して7合目付近までアクセスし、その後1時間程度で登ることができます。10月に入り紅葉シーズンが終了すると閑散期に入り、乗客のほとんどが東アジアの観光客と欧米人が少々、日本人登山者は少なく観光客もほとんど姿を見せなくなります。

 

層雲峡から山々を見上げた時にガスがかかっていても上空は晴れていることがあり、ペアリフトに乗ってしばらくした頃に雲の上に出ることがあります。天気が晴れ予報なら思い切って始発便に飛び乗ることをお薦めします。

 

大雪山系黒岳ペアリフト

 

雲を突き抜け振り返ると、雲海に浮かぶ北大雪の山々が横一列に並んでいます。ニセイカウシュッペと大槍、縦走路の通称「アンギラス」そして平山へと東へ続く稜線が見られるでしょう。

 

登山の経験が多くなると、雲海に浮かぶ山々を見る機会が増えてきますが、雲海を突き抜けた瞬間に自分の目線より、ほんのちょっとだけ低い位置に雲の流れを見るチャンスは滅多にありません。例えるなら雨と晴れの境目を見るようなもので、楽しみの一つでもあります。

 

黒岳ペアリフト7合目

 

さて、リフトを下りたら登山者名簿に記載して出発しましょう。夏山でもなく冬山でもないこの時期は本当に登山者が少なく、観光客100人に1人くらいの割合と言ってもいいくらい。スノーシューかワカンを履いた方が無難ですが、気温が上がって暖かければツボ足でも大丈夫。

 

黒岳登山道

 

まだこのくらいの積雪であれば、トレースが無くても道に迷う心配はいらないでしょう。登山者が少ないとは言ってもそこは大雪山系。余程悪天候が続かない限り、しばらく登山者がゼロと言うことはないので、猛烈なラッセルの心配は要らないと思います。

 

層雲峡黒岳登山道

 

こちらは北大雪の東側の山々。屏風岳は夏道が無いのでそれほど有名な山ではありませんが、標高も高くて風格もあり、こうして黒岳の登山道から眺めると登ってみたくなりますよね。

 

黒岳登山道

 

気温が上がってすっかり雲海が無くなった時点での北大雪の山並み。石狩川が流れる層雲峡の渓谷美を、このように高いところから見下ろすことができます。

 

大雪山黒岳登山道

 

最後のジグを切りながら、山頂まで残り僅かの斜面。銀泉台から赤岳への登山道より北側一体を眺めることができます。ご覧の地域一帯は、一般登山者が立ち入ることはまずないでしょう。

 

大雪山系黒岳

 

ペアリフトの終点駅から約1時間30分ほどで登り切って、やっと山頂標識が見えてきます。上部は岩とガレ場のミックスで露出しているので雪はほとんどなく、一部氷化しています。北側は崖になっているので、あまり近づかないようにしましょう。

 

僅か1時間程度で白い山々に会うことができる!

大雪山系黒岳

 

山頂からは新雪で白く輝く凌雲岳や北鎮岳が眺めれます。凌雲岳の奥には愛別岳が少しだけ顔をのぞかせているんですよ。

  

大雪山系黒岳

 

こちら側はひときわ高い白雲岳と、なだらかな花の名山小泉岳。鋭く尖った烏帽子岳などの展望。と私、、、

 

大雪山系黒岳

 

10月は日中の時間が短いので、黒岳のみ登って引き返すのが妥当ですが、このくらい気象条件が良いと、せめて石室まででも足を延ばしてみたくなるもの。

 

大雪山系黒岳石室

 

黒岳の山頂と黒岳石室との標高差は約90mあります。無雪期なら何とも感じませんが、雪があるとちょっと面倒かもしれませんね。

 

黒岳山頂

 

黒岳に戻って別の方角を見てみましょう。まず、凌雲岳より北側にある険しい尾根上の上川岳、奥には愛別岳が見えます。上部はそれぞれ険しく見えますが、下部は広い尾根なので冬に北側からアプローチする方も少なくないのだとか。手前には注釈を入れていませんが、ほぼ同じ高さに桂月岳があります。くれぐれも滑落しないように気を付けて。

 

大雪山系黒岳山頂社

 

最後にお社に参拝し、登山の無事と天気に感謝しましょう。

 

10月中旬の大雪山系黒岳、いかがでしたか?残雪期と初冬の決定的な違いは、雪の白さが違うこと。また山肌がまだ少しだけ見えるのも、厳冬期と少し異なり魅力的ですよね。そしてまだ秋との境目なので天気も安定しやすいので、黒岳のように行程が短ければ雪山初心者でも比較的安心です。みなさんも黒岳山頂から表大雪の山々に会いに行きませんか。

 

※この記事は2015年10月17日の山行をもとに作成しました。